まるで日本から出国する度に発生する罰金!1人1000円の国際観光旅客税

まるで日本から出国する度に発生する罰金のような「国際観光旅客税」が2019年1月7日から発生するようになりました。1人につき1000円が航空券代に上乗せされて徴収されます。

 

国際観光旅客税

2019年1月7日より国際観光旅客税として1人あたり1000円が徴収される様になりました。課税対象者は日本国外へ飛行機や船舶などに乗って移動する2歳以上のすべての人です。LCCを利用する若者から、豪華客船を利用する老人まで一律にかかります。例えば、LCCのジェットスター・ジャパンを利用して2019年3月21日に成田空港から台湾の桃園空港へ出発する場合は、航空券代は10,500円とお手頃な価格ですが、国際観光旅客税等として2,540円が徴収されるので、総額は13,040円になってしまいます。

 

項目金額割合
航空券10,500円80.5%
国際線空港施設使用料(SW)1,020円19.5%
旅客保安サービス料(OI)520円
[NEW!] 国際観光旅客税(TK)1,000円
【合計】13,040円100%

具体的な内訳は上記の表の通りです。すでに国際線空港施設使用料旅客保安サービス料という名目で1,540円が徴収されてましたが、国際観光旅客税の徴収が開始したことから、さらに追加で1000円かかるようになりました。航空会社がコストを削減し価格を抑える施策を行っても、税金や手数料によって台無しになっています。

 

ちなみに、ジェットスター公式サイトによると2018年10月~2019年2月で最も安い運賃は6,750円です。その場合、支払総額の約27%も税金または手数料として徴収されます。たかが1000円ですが、料金設定によっては3分の1を占める多きな負担になります。できるだけ移動費用を抑えようとする旅行者に最も高い負担を強いることになるのです。

 

※ジェットスターではクレジットカードの決済手数料として別途500円かかります。

 

出国税導入済みの国

  • アメリカ
  • イギリス
  • フランス
  • ドイツ
  • オーストラリア
  • シンガポール
  • カンボジア
  • 韓国

出国税自体は各国で導入されていますが、その使い道は必ずしも自由というわけではありません。オーストラリアはアジアでも高い航空旅客税が課せられていますが、使用用途は税関や保安サービスなどの出入国管理のために限定されています。アメリカでも地方路線を維持するために使われています。日本の出国税と同じように、一般財源として幅広く使われているのはイギリスとドイツです。しかし、国土交通省の資料によると、イギリスでは旅客減少と幅広い使途への批判から今後のあり方が検討されていて、ドイツでは地方空港の旅客減少という影響があり地方政府によって廃止が求められているそうです。

 

先行事例から分かる通り、日本でも国際路線のある地方空港は苦戦を強いられる恐れがあります。地方空港の活用や維持という観点からも得策ではないのではないでしょうか。

 

参考 公租公課のあり方及び地方航空ネットワークの維持方策について国土交通省

 

主な使い道

使途は(1)出入国の手続きの高度化(135億円)(2)受け入れ体制整備と情報発信の強化(139億円)(3)地域資源を活用した観光コンテンツの拡充(224億円)-に大別される。

https://www.sankei.com/politics/news/181216/plt1812160003-n1.html

国際観光旅客税の主な使い道は、出入国設備の整備、地方の観光客誘致、観光コンテンツ拡充の3点です。出入国の手続きの高度化についてはこれから出国する旅行者も恩恵を預かることができますが、それ以外はあまりメリットがありません。徴収される1000円のうち約73%は出国する人とは関係のないことに使われます。地方の観光客誘致の具体例はトイレの洋式化無料Wi-Fiの拡充だそうです。はっきり言って、受益者負担原則に基づいてそれぞれの施設または地方公共団体が自前の予算を持って整備すべき内容です。出国する人が負担するものとしては使途が広すぎるのではないでしょうか。

 

おわりに

導入されて早々ではありますが、観光やビジネス等問わずに多数の旅客が行き来することを目指すなら廃止すべきです。観光庁は観光立国を推進し、国土交通省は地方空港の維持に奔走しているのに関わらず、財務省と国税庁は逆向しているように感じます。すでに日本はアジアのハブ空港になり損ねて、トランジット客の取り込みに失敗しています。訪日外国人が年々増加しているとはいっても、インバウンドもいつまで好調かはわかりません。

 

また、日本は周囲を海で囲まれており、アメリカとアジアをつなぐ航空路の中間地点に存在しているので、出国税を導入した他国とは違って上空通過料だけで1,199億円の収入があります。使用用途を「空港」や「出入国」ということに限定すれば十分に賄えるはずです。

 

現状ではいくらでも無駄遣いができてしまう仕組みになっています。日本から世界へ旅立つ人にとっても、世界中の国の中から日本を選んで来てくれた訪日客にとっても良い状態とは言えません。